小代焼中平窯 ~熊本の窯元~

やきもの日記 ~とある窯元の主張~

最近読んだ本について

10月に登り窯を焚きながら(窯焚き前半はけっこうスローペースなので、本を読む余裕がある)読んだ本の紹介です。

出川直樹氏「民芸 理論の崩壊と様式の誕生」

内容は好き嫌いが分かれそうな感じでしたが、最近読んだ本の中では一番興味深く読むことができました(^^)


端的にまとめると
『柳氏の審美眼を認めつつも、民芸理論や民芸運動の矛盾点を丁寧に指摘する。
そして、民芸は理論としては矛盾点が多いが「民芸様式」や「宗悦好み」という立ち位置であれば矛盾も無く、今後の発展もあるのではないだろうか。』
という内容でした。

柳氏の著作(「工蓺の道」「民と美」など)を読んだ後に「民芸 理論の崩壊と様式の誕生」を読むことで全体が理解できる内容かなと思いました。


私個人として印象的だったのは「民芸様式の特質」として民芸の特徴が淡々とまとめてある部分でした。

「民芸」の話をするときは肯定するにしても否定するにしても感情的になる場合(柳宗悦本人や北大路魯山人などは象徴的です。)が多いという印象を持っていたためです。

「これは正しい」「あれは間違っている」という事ではなく ただただ柳氏の好んだ様式が箇条書きで示されていました。

今まで、私の中では柳氏を「生きている個人」として認識していました。
しかし、感情的な深入りをせずに歴史の1ページとして距離をおいて「民芸」を論じるあり方は新鮮でした。

従来の民芸理論に親しんでいると 受け入れにくい内容も含まれていますが、新たな視点を気付かせてくれる貴重な一冊です。

2019年11月3日(日) 西川智成
「民芸 理論の崩壊と様式の誕生」

“昔ながら”の作り方とは…?

中平窯が携わっている「小代焼」は約400年間、技法(特に藁灰釉や流し掛け)が大きく変わらずに受け継がれています。

時代に合わせて主体となった技法が変わったり、途絶えたりする焼き物がある中で珍しい事例だと思います。

しかし、生産の形態には時代時代で変化があり、一概に「昔は○○だった。」とは言えません。



まず江戸初期から後期までの200年間ほどは二つの家(牝小路家・葛城家)による一子相伝の時代があります。

この時期は卸売をしておらず、両家が一年交代で一つの窯を使うという小規模生産・小規模消費の時代があります。

制作する器としては藩の役所などで使う茶器類が多かったようです。

小代焼の歴史の中でも、かなり長い期間この形態をとっていました。



江戸後期になると瀬上窯が築かれ、職人を雇って生産し 卸売をするという大量生産の時代が数十年間ありました。(とはいっても消費は肥後藩内に限られていました。)

この時期に民間用の多種多様な製品(食器に限らず湯たんぽ・味噌漉し・蒸かし器なども)が作られています。



それから激動の幕末~明治、その後に大正~昭和~平成をへて現在は12軒の窯元が熊本県内で活動しています。

江戸時代の小代焼を代表する牝小路家・葛城家・瀬上家は現在小代焼の制作には携わっておらず、現在活動中なのは昭和~平成に開窯した窯元が大半です。



こうやって歴史を遡っていくと、時代に沿って生産形態が移り変わっていったことが分かります。


中平窯としては伝統的な「藁灰釉や流し掛け」に魅力を感じているので、その技法を突き詰めていこうと思っています。

しかし、ただ漠然と“昔ながらのやり方”を目標にするのではなく「いつの」「どんな」“昔ながらのやり方”が理想なのか?とういことを意識して作陶していきたいと思っています。

2019年9月14日(土) 西川智成
江戸時代に稼働していた「瓶焼窯」跡

窯元で直売することの価値 ~モノを売るだけで終わらない~

小代焼中平窯では窯元での直接販売を中心に活動しています。

この“作り手が制作現場で直接販売をする”という方法には、ただ単にモノを売り買いするという事以上の価値があると思っています!


私が考える価値というのは主に2つあります。

手作りの魅力が詰まった「一点物」をお客様に見ていただける。
作品の背景(作り方や歴史)について、作り手本人が説明できる。


まずについてですが、手作りの魅力を一番感じるのは「一点物」であると思っています。

窯元での販売以外でも「手作りの一点物」に出会うことはありますが、直接販売以外では作品の自由度や一点物に出会う頻度というのは ある程度の制限がかかるでしょう。

(大阪のdantelionさんには手作りの良さを理解していただいており、一点物も多数取り扱っていただいています。)

大まかな形やサイズはある程度揃えますが、その瞬間瞬間で判断して細工を変え、釉薬を使い分けるという即興性が作品をのびやかにして重々しさや硬さを取り除いています。

特に小代焼の特徴である「流し掛け」という釉薬の掛け方は偶然性の強い技法であり、「商品なんだから、同じような模様にしなければ…!」と考えながら作っていると魅力が半減してしまいます。

また作り手から見ると「原料の調合を少し変えてみよう。」「焼き方に変化をつけてみよう。」と考えた時に、身動きが取りやすいという利点があります。

自分の理想を実現させるため、自分が思い立った時にすぐに実行に移せるのです。

ちなみに個展であれば作品の自由度は高いですが、制作現場を感じていただくという面では難しいです。


そしての作品の背景については、中平窯では制作現場の無料見学を行っています。

制作から展示・販売までを一貫して行っている窯元でしか出来ない体験です。

作り手以外で説明できる方もいらっしゃいますが、正直「う~ん…訂正するほどじゃないけど、その説明の内容は ちょっと違和感があるな~^^;」と思ってしまうことも、たまにあります。

その点、作り手が説明すれば細かいニュアンスを伝えられますし、質問に対してもきちんと答えることができます。

また、数点ですが江戸時代に作られた小代焼も展示しているので「何が現代まで受け継がれ、どの点が時代とともに変化したのか。」ということも感じていただけます。

背景やルーツについて知ることでより生活が豊かになるということは陶器に限らず、音楽・芸術・スポーツ・ファッション・食文化・漫画やアニメ・趣味全般などなど共通ではないでしょうか?


「良い作品を作る!」という事は作り手にとって大前提ですが、より価値を感じていただける方法をこれからも模索していきます(^^)


2019年7月26日(金) 西川智成
ワインカップ 一点ずつ個性があります。
登り窯の見学の様子
焼締ぐい呑み 酒器は特に作品性が強く出ます。

焼き物屋がホームページを作ったワケ

私がホームページの運営を始めて3年の月日が経ちました。

焼き物を生業としている「窯元」はそれなりの軒数がありますが、継続的にホームページを運営している窯元となると そう多くはないと思います。


私がホームページを始めた最初の動機は“多くの方々に中平窯を知ってもらうため”です。

ホームページを運営し始めてからは県内外を問わず初めてのお客様に出会うことが多くなり、当初の目標に少しずつ近づいてきました!


それと同時にきちんとした小代焼の情報(歴史とか特徴とか)を、求めている人に届けたいとも思うようになりました。

そのため販売に直接は繋がらなくても、現在は小代焼の歴史などの情報を載せるようにしています。

…かなりマニアックな内容なのでどれくらい見てもらっているか分かりませんが^^;


作陶の合間に情報発信をしているので不定期になりますが、当ホームページが少しでも小代焼の理解に役立ってくれれば…!と思っています。


2019年6月30日(日) 西川智成
窯焚きの様子

CONTACT

営業時間 10:00~17:00

定休日   水曜日、木曜日

電話番号  0968-68-7326

住所 熊本県荒尾市樺1192

 

『小代焼 中平窯(しょうだいやき なかでらがま)』は熊本県荒尾市の窯元です。
小代焼の制作から展示・販売まで行っております。

営業時間:10:00~17:00
定休日:水曜日、木曜日
電話:0968-68-7326
住所:熊本県荒尾市樺1192

窯元代表:西川講生(にしかわこうせい)

携帯用QRコード

QRコード
携帯のバーコードリーダーでQRコードを読み取ることで、携帯版ホームページへアクセスできます。
PAGE TOP